構造改革特区でワインを製造する~特定農業者による果実酒製造

構造改革特区とは何かご存じですか?構造改革特区とは、地域の活性化を図るため、地方公共団体が自発的に設定する区域で規制の特例措置の適用を受けることができる制度です。『ワイン特区』や『どぶろく特区』と呼ばれることもありますね。

ワイン特区とは?

お酒を製造したい場合、製造する酒類の品目別・製造場ごとにその所在地の税務署長から製造免許を受けなければなれません。果実酒(ワイン)を製造する場合、最低製造数量基準として年間6キロリットルという要件が設定されています。特区内において、農家民宿や農家レストランなどを営む農業者(特定農業者)が、特区内にある自己の酒類製造場で、果実酒(ワイン)を製造しようとする場合には、年間6キロリットルという要件が適用されないこととなっています。

特定農業者による果実酒製造免許の要件(特区法上の要件)

(1)申請者は、酒類を自己の営業場において飲用に供する業(民泊業等)を特区内において営む農業者であり、かつ、内閣総理大臣の認定を受けた特区計画における「特定農業者による特定酒類の製造事業」の実施主体に該当する者であること。
【農業者の範囲】
農業者の範囲は、①農業を営む者②農業経営者の世帯員等③農地所有適格法人の組合員等となります。

①農業を営む者個人・法人は問わず、農地が自己所有であるか他社所有であるかは問わない
②農業経営者の世帯員等農地法に規定する農地につき耕作の業務を行う者の世帯員で、農業経営者の行う果実の生産に従事しており、その事実について農業委員会から証明を受けた者
③農地所有適格法人の組合員等農地所有適格法人の組合員、社員又は株主で、農地所有適格法人の行う果実の生産に従事しており、その事実について農業委員会から証明を受けた者

(2)製造する酒類は、特区法第28条第1項第1号に定める果実酒に限ること
特区法に定める果実酒とは、以下のもの限ります。
【原材料・製法】
酒税法に定められている果実酒のうち、次のいずれかに該当するもの
・果実を原料として発酵させたもの(アルコール分20度未満)。
・果実及び水を原料として発酵させたもの(アルコール分20度未満)。
・果実に糖類を加えて発酵させたもの(アルコール分が15度未満ものであって、加えた糖類の重量が果実に含有される糖類の重量を超えないもの)。
・果実及び水に糖類を加えて発酵させたもの(アルコール分が15度未満でのものであって、加えた糖類の 重量が果実に含有される糖類の重量を超えないもの)。
・上記のいずれかの酒類に糖類を加えて発酵させたもの(アルコール分が15度未満のものであって、加えた糖類の重量が果実に含有される糖類の重量を超えないもの)。

果実は、自ら生産したものまたはこれに準ずるものに限られますが、災害等により、自ら生産した果実を原料として果実酒を製造できない場合、地方公共団体の長から証明を受けた場合に限り、他で生産された果実を使用することができます。


(3)特区内に所在する自己の酒類の製造場において、果実酒の製造を行うものであること
特区内の自己所有地であっても、許可を受けた場所以外で製造することはできません。

出典:国税庁ホームページ(特定農業者による果実酒製造用)
※構造改革特区における製造免許の手引き①特定農業者による果実酒製造用(国税庁)を編集して作成

特定農業者による果実酒製造免許の要件(酒税法上の要件)

特区法上の要件のほかに、酒税法上の要件を充たす必要があります。

人的要件①申請者が酒類の製造免許もしくは酒類の販売業免許又はアルコール事業法の許可の取消処分を受けたことがないこと
②申請者が酒類の製造免許もしくは酒類の販売業免許又はアルコール事業法の許可の取消処分を受けたことがある法人のその取消処分があった日以前1年以内にその法人の業務を執行する役員であった者の場合は、その法人が取消処分を受けた日から3年を経過していること。
③申請者が申請前2年以内において国税又は地方税の滞納処分を受けたことがないこと。
④申請者が国税又は地方税に関する法令等に違反して、罰金の刑に処せられ又は通告処分を受けた者である場合には、それぞれ、その刑の執行を終わり、もしくは執行を受けることがなくなった日又はその通告の旨を履行した日から3年を経過していること。
⑤申請者が、未成年者飲酒禁止法、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律、刑法又は暴力行為等処罰に関する法律の規定により、罰金刑に処せられた者でる場合には、その執行を終わり、又は執行を受けることがなった日から3年を経過していること。
⑥申請者が禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わった日又は執行を受けることがなくなった日から3年を経過していること。
場所的要件正当な理由がないのに取締り上不適当と認められる場所(酒場、旅館、料理店等)に製造場を設けようとしていないこと。
経営基礎要件(該当しないかどうか)①現に国税もしくは地方税を滞納している場合。
②申請前1年以内に銀行取引停止処分を受けている場合。
③最終事業年度における確定した決算に基づく貸借対照表の繰越損失が資本等の額を上回っている場合。
④最終事業年度以前3事業年度のすべての事業年度において資本等の額の20%を超える額の欠損を生じている場合。
⑤酒税に関係のある法律に違反し、通告処分を受け、履行していない場合又は告発されている場合。
⑥製造場の申請場所への設置が、建築基準法、都市計画法、農地法、流通業務市街地の整備に関する法律その他の法令又は地方自治体の条例の規定に違反しており、工場の除却もしくは移転を命じられている場合。
⑦果実酒の製造免許を付与した場合において、製造者が今後1年間に納付すべき酒税額の3か月分に相当する価額又は免許申請書に記載している果実酒の数量に対する酒税相当額の4か月分に相当する価額のうち、いずれか多い方の価額以上の担保を提供する能力がないと認められる場合。
経営基礎要件(要件を充足するかどうか)①申請書が事業経歴その他から判断し、適性に果実酒を製造するのに十分な知識及び能力を有すると認められる者又はこれらの者が主体となって組織する法人であること。
②申請者が果実酒を適切に製造するために必要な所要資金並びに製造又は貯蔵等に必要な設備及び人員を有する者であって、果実酒の製造に関して安定的な経営が行われ目と認められる場合であること。
③果実酒の製造に必要な原料の入手が確実と認められること。
製造技術要件果実酒の製造について必要な技術的能力(醸造・衛生面等の知識があり、かつ、保健衛生上問題のない一定水準の品質の酒類を継続的に供給することができ、不測の事態が生じた場合に対応できる能力)を備えていること。
設備要件酒類の製造又は貯蔵等に必要な機械、器具、容器等が十分備わっているとともに、申請製造場の設置が工場立地法、下水道法、水質汚濁防止法、食品衛生法等製造場の設備に関する法令及び地方自治体の条例に抵触しないこと。

出典:国税庁ホームページ(特定農業者による果実酒製造用)
※構造改革特区における製造免許の手引き①特定農業者による果実酒製造用(国税庁)を編集して作成

構造改革特区制度における酒税法の特例措置によって、6次産業化を目指す農家がワイン製造業に参入しやすくなります。このような制度を活用して農家の6次産業化が進むことによって、農家が個人事業から法人を設立したり、事業の規模が拡大することによって雇用も増えるでしょう。農業の活性化・地域の活性化につながりますね。

 

当事務所では、農家の6次産業化支援を行っています。酒類免許の申請だけではなく、農家民宿や農家レストランなどに必要な許認可にも対応しております。
6次産業化を検討している方は、ぜひ。お問い合わせください。

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