農地を宅地などに転用する要件とは?~農地転用について

農地転用とは

農地転用とは、農地を農地以外の目的で使えるようにすることです。農地は、農地法により規制されているためいくら所有者であっても、自由に売買や賃借したり、宅地などに転用することはできません。農地を農地以外の目的で利用するためには、原則、農業委員会を経て都道府県知事の許可を受けなければなりません。

農地転用の要件(立地基準)

農地には、農用地区域内農地、甲種農地、第1種農地、第2種農地、第3種農地の区分があります。その区分により要件が異なります。

農用地区域内農地
(市町村が定める農業振興地域整備計画において農用地区域とされた区域内の農地)
原則不許可。ただし、次のいずれかに該当する場合には、例外的に許可をすることができる。
①土地収用法の規定による告示に係る事業の用に供する場合。
②農振法に規定する農用地利用計画において指定された用途に供する場合。
③次のすべてのの要件をみたす場合
・農地を一時的に利用するために行うもので、利用の目的を達成する上でその農地を供することが必要であると認められるもの。
・農業振興地域整備計画の達成に支障を及ぼすおそれがないと認められるもの。
第1種農地(良好な営農条件を備えている農地)
・集団農地(10ha以上)
・農業公共投資対象農地
・生産力の高い農地
原則不許可。ただし、次のいずれかに該当する場合は、例外的に許可することができる。
①土地収用法の規定による告示に係る事業の用に供するため行われるもの。
②農地を一時的に利用するために行うもので、利用の目的を達成する上で、その農地を供することが必要であると認められるもの。
③地域の農業の振興に資する施設として次に掲げるもの。
・農業用施設、農畜産物処理加工施設、農畜産物販売施設
・都市住民の農業体験その他の都市等との地域間交流を図るために設置される施設
・農業従事者の就業機会の増大に寄与する施設
・農業従事者の良好な生活環境を確保するための施設
・住宅などの土地の周辺の地域において居住する者の日常生活上又は業務上必要な施設で集落に接続して設置されるもの
④農地を市街地に設置することが困難又は不適当なものとして次に掲げる施設の用に供するために行われるもの
・病院、療養所その他の医療事業の用に供する施設でその目的を達成する上で市街地以外の地域に設置する必要があるもの
・火薬庫又は火薬類の製造施設
・悪臭、騒音、廃煙等のため市街地の居住性を悪化させるおそれのある施設(ごみ焼却場、下水・糞尿処理場等)
⑤特別の立地条件を必要とする次のいずれかに該当する事業の用に供するため行われるもの
・調査研究
・土石その他の資源の採取
・水産動植物の養殖用施設その他これに類するもの
・流通業務施設、休憩所、給油所その他これらに類する施設
・既存の施設の拡張
・転用事業の為に欠くことのできない通路、橋、鉄道、軌道、索道、電線路、水路その他の施設
⑥隣接する土地と一体として同一事業の目的に供するために行うものであって、事業の目的を達成する上で農地を供することが必要であると認められるもの
⑦公益性が高いと認められる事業の用に供するために行われるもの
⑧地域整備法の定めるところに従って行われる場合その他地域の農業の振興に関する地方公共団体の計画に従って行われる場合
甲種農地(市街化調整区域内にある特に良好な営農条件を備えている農地)
・農業公共投資後8年以内の農地
・集団農地で高性能機械での営農可能農地
原則不許可。ただし、次のいずれかに該当する場合には、例外的に許可することができる。許可できる場合は、第1種農地より限定される。
①土地収用法の規定による告示に係る事業の用に供するために行われるもの。
②農地を仮設工作物の設置その他の一時的な利用に供するために行うものであって、利用目的を達成する上で農地を供することが必要であると認められるもの。
③地域の農業の振興に資する施設として次に掲げるもの
・農業用施設、農畜産物処理加工施設、農畜産物販売施設
・都市住民の農業体験その他の都市等との地域間交流を図るために設置される施設
・農業従事者の就業機会の増大に寄与する施設
・農業従事者の良好な生活環境を確保するための施設
・住宅その他申請に係る土地の周辺の地域において居住する者の日常生活上又は業務上必要な施設で集落に接続して設置されるもの
④農地を特別の立地条件を必要とする次のいずれかに該当する事業の用に供するために行われるもの。
・調査研究
・土石その他の資源の採取
・水産動植物の養殖用施設その他これに類するもの
・流通業務施設、休憩所、給油所その他これらに類する施設
・既存の施設の拡張
⑤隣接する土地と一体として同一事業の目的に供するために行うものであって、事業の目的を達成する上で農地を供することが必要であると認められるもの
⑥公益性が高いと認められる事業の用に供するために行われるもの
⑦地域整備法の定めるところに従って行われる場合その他地域の農業の振興に関する地方公共団体の計画に従って行われる場合
第3種農地(市街地の区域内又は市街地化の傾向が著しい区域内にある農地)
次に掲げる区域内のあるもの
①道路、下水道その他の公共施設又は鉄道の駅その他の公益的施設の整備の状況が次に掲げる程度に達している区域
・水管、下水道管又はガス管のうち2種類以上が埋設されている道路の沿道の区域であって、容易にこれらの施設の便益を享受することができ、かつ、農地からおおむね500m以内に2以上の公共施設又は公益的施設が存すること。
・農地からおおむね300m以内に次に掲げる施設のいずれかが存すること。
イ.鉄道の駅、軌道の停車場又は船舶の発着場
ロ.高速自動車道等の出入り口
ハ.都道府県庁、市役所、区役所又は町村役場
二.バスターミナル等
②宅地化の状況が次のいずれかに該当する程度に達している区域
・住宅の用もしくは事業の用に供する施設又は公共施設もしくは公益的施設が連たんしていること。
・街区の面積に占める宅地の面積の割合が40%を超えていること。
・都市計画法に規定する用途地域が定められていること。
③土地区画整理法に規定する土地区画整理事業又はこれに準ずる事業として農林水産省令で定めるものの施行に係る区域。
第3種農地の転用は、原則許可。
第3種農地に近接する区域その他市街地化が見込まれる区域内にある農地(第2種農地)
次に掲げる区域内にあるもの。
①道路、下水道その他の公共施設又は鉄道の駅その他の公益的施設の整備の状況からみて、第3種農地の①の区域に該当すると見込まれる区域で次に掲げるもの。
・相当数の街区を形成している区域。
・鉄道の駅、軌道の停車場、船舶の発着場、都道府県庁、
市役所、区役所、町村役場、バスターミナル等の周囲おおむね500m以内の区域。
②宅地化の状況からみて第3種農地の②の区域に該当すると見込まれる区域として、宅地化の状況が住宅・事業の用に供する施設、公共施設、公益的施設が連たんしている区域に近接する農地の区域で、その規模がおおむね10ha未満であるもの。
申請に係る農地に代えて周辺の他の土地を供することにより、事業の目的を達成することができると認められる場合には、原則不許可。。
その他の農地(第2種農地)
・農業公共投資の対象となっていない小集団の生産性の低い農地等
申請に係る農地に代えて周辺の他の土地を供することにより、事業の目的を達成することができると認められる場合には、原則不許可。。

出典:農林水産省ホームページ(農地転用許可制度の概要)([農地転用抜粋]農地法の運用について)
農林水産省(農地転用許可制度の概要)([農地転用抜粋]農地法の運用について)を編集して作成

原則不許可→農用地区域内農地、甲種農地、第1種農地
第3種農地に立地困難な場合などに許可→第2種農地
原則許可→第3種農地
市街化区域内にある農地(第3種農地)を転用する場合には、農業委員会への届出で足り、許可は不要となります。

農地転用の要件(一般基準)

立地基準に該当する場合であっても、次のいずれかに該当するときは、許可することができません。
1.農地を転用して申請に係る用途に供することが確実と認められない場合
・転用行為を行うのに必要な資力及び信用があると認められない。
・申請に係る農地の転用行為の妨げとなる権利を有する者の同意を得ていない。
・許可を受けた後、遅滞なく、申請に係る農地を申請に係る用途に供する見込みがない。
・申請に係る事業の施行に関して行政庁の免許、許可、認可等の処分を必要とする場合においては、これらの処分がされなかったこと又はこれらの処分がされる見込みがないこと。
・申請に係る事業の施行に関して法令により義務付けられている行政庁との協議を現に行っていること。
・申請に係る農地と一体として申請に係る事業の目的に供する土地を利用できる見込みがないこと。
・申請に係る農地の面積が申請に係る事業の目的からみて適正と認められないこと。
・申請に係る事業が工場、住宅その他の施設の用に供される土地の造成のみを目的とするものであること。
2.周辺の農地に係る営農条件に支障を生ずるおそれがあると認められる場合
・申請に係る農地の位置等からみて、集団的に存在する農地を蚕食し、又は分断するおそれがあると認められる場合。
・周辺の農地における日照、通風等に支障を及ぼすおそれがあると認められる場合。
・農道、ため池その他の農地の保全又は利用上必要な施設の有する機能に支障を及ぼすおそれがあると認められる場合。
3.地域における農地の農業上の効率的かつ総合的な利用の確保に支障を生ずるおそれがあると認められる場合
・農用地利用集積計画に基づく農地の利用の集積に支障を及ぼすおそれがあると認められる場合。
・市町村農業振興地域整備計画の案に係る農地を転用することにより、計画に基づく農地の農業上の効率的かつ総合的な利用の確保に支障を生ずるおそれがあると認められる場合。
4.仮説工作物の設置その他一時的な利用に供するため農地を転用しようとする場合において、その利用に供された後にその土地が耕作の目的に供されることが確実と認められないとき

出典:農林水産省ホームページ(農地転用許可制度の概要)([農地転用抜粋]農地法の運用について)
農林水産省(農地転用許可制度の概要)([農地転用抜粋]農地法の運用について)を編集して作成

農業従事者の高齢化・後継者不足のため農地を維持できず手放す農業者が増えています。農地として利用し続けていくことが、いちばん良いですが、耕作放棄地となるよりは、農地転用は土地を有効に活用する手段だと考えます。

当事務所では、農地転用による許可申請を行っております。農地を宅地にしたい・太陽光パネルを設置したいなどお考えの方は、ぜひ、お問い合わせください。

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