遺言書の方式と留意事項について

遺言書の方式

遺言の方式は、民法に定められている方式を満たさないとその効力が無効になります。また、遺言の方式には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言等の方式があります。それぞれ長所・短所があるので、遺言書の作成者が自己にとって最適な方式を選択することになります。

自筆証書遺言

自筆証書遺言とは、遺言者がその全文、日付及び氏名を自書し、押印することによって作成することができます。(民法968条1項)

長所・簡単で費用がかからない
・遺言の存在・内容を秘密にすることができる
短所・紛失・偽造・変造のおそれがある
・方式の不備・文言の解釈に問題が生じる可能性がある

自筆証書遺言では、自ら書くことが要求されており、財産目録を除いてワープロ等による作成は認められていません。氏名については、氏又は名のどちらかの記載でもよく、通称・ペンネームでも有効であると解されています。押印については、三文判・指印でもよいとされています。日付については、「令和5年5月○日」のように客観的に確定できる程度に特定されていなければなりません。「令和5年5月吉日」のような記載は認められないとされています。
自筆証書遺言の場合は、遺言を執行するために家庭裁判所の検認が必要とされます。(民法1004条1項)しかし、遺言書保管所に保管されている遺言書は、検認は不要とされています。(遺言書保管11)

公正証書遺言

公正証書遺言とは、次の方式に従って作成される遺言のことをいいます。(民法969条)
①証人2人以上の立会いがあること。
②遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
③公証人が遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること。
④遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し押印すること。
⑤公証人が、その証書が①から④までの方式に従って作成されたものである旨を付記して、これに署名押印すること。

長所・公証人が原本を保管するため変造・紛失の危険がない
・公証人の関与により遺言の効力が問題になる可能性が低い
・検認が不要
短所・公証人役場に行かなければならない
・費用が掛かる

秘密証書遺言

秘密証書遺言とは、次の方式に従って作成される遺言のことをいいます。(民法970条)
①遺言者が遺言書に署名し押印すること。
②遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章をもってこれに封印すること。
③遺言者が、公証人1人及び証人2人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述すること。
④公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名押印すること。

長所・遺言書の存在を明らかにし、その内容を秘密にして保管することができる
・自書能力がなくても作成できる
短所・遺言書の内容に公証人が関わらないため疑義が生じる場合がある

秘密証書遺言は、代筆、ワープロによることも可能です。また、遺言を執行するために家庭裁判所の検認が必要です。秘密証書遺言は、秘密証書遺言としての要件を欠いても、自筆証書遺言としての要件を具備していれば、自筆証書遺言として有効となります。(民法971条)

遺言の相手は法定相続人だけか?

遺言書を作成しない場合には、原則として被相続人の法定相続人が法定相続分に従って被相続人の財産を相続します。しかし、例えば、自分の介護をしてくれた相続順位の低い親族や他人に自分の財産を相続してほしいという場合もあり得ます。このような場合には、これらの者に財産を相続させるとする遺言をする必要があります。遺言の相手は、法定相続人だけに限られるわけではなく、他人であっても認められるのです。

未成年者の遺言

遺言は、15歳以上であれば未成年者であっても自由にすることができます。(民法961条)法定代理人の同意は必要ありません。未成年者の法律行為は法定代理人の同意が必要ですが、遺言の場合は、遺言が財産行為ではなく、遺言者の最終意思の表明であることから、法定代理人の同意は不要とされています。

財産目録・相続人名簿の作成

・遺言書を作成するときは、財産目録・相続人名簿を作成しておく。
・相続財産には資産のみならず、負債の内訳も記載すべき。資産としては、①現金・預貯金・株式等の金融財産、②不動産、③貴金属類・車等の動産などがある。負債としは、借入金・住宅ローン等。
・不動産については、登記事項証明書を確認し、所在・地番等を記載。預貯金については金融機関名・支店名・口座番号等を記載。その他の財産については、時価額を記載。
・財産目録については、自書によらないものを添付することができる。

当事務所では、遺言書作成のサポートを行っております。お気軽にお問い合わせください。

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